眼下の敵

闘いは昨年の秋頃からはじまった。
最初は敵の連絡通路を発見次第、叩き潰していた。
だが敵はそのたびに、夜を徹して修復してくる。
のみならず、連絡網は拡大の一途をたどるばかりだ。


俺は、化学兵器の使用に踏みきった。
第一段は地中に埋め込む地雷型、続いて空中からの散布作戦を敢行する。
それでも敵の侵攻は留まるところを知らない。


年が明け、追い詰められた俺は、断腸の思いで電子兵器の投入を決断した。
我が領土の平和のためだ、神もお許しくださる、と自分に言い聞かせた。


そいつは 15sec 間隔で敵の頭脳を撹乱する音波を発信するという触れ込みだ。
設置工事は難航を究めた。凍てついた地面は、スコップの歯を容易には受け付けない。
それでも俺は、寒風吹きすさぶなか、汗まみれになりながら設置を終えた。
これで敵を一掃できるに違いない。我が領土に平和が訪れる筈だ。


電子兵器の設置からまもなく一ヶ月になろうとする。
俺の期待を嘲嗤うかのように、敵の連絡通路網は拡大しつづけている。
今朝も、電子兵器のすぐ脇に、敵の工事跡が残されていた。
直系約 30cm、高さ約 20cm の土砂の小山だ。
俺が手塩にかけ、初夏から秋にかけては緑が眩い我が領土は、無惨な状態となっている。










































誰か、ベトコンモグラの撃退法を教えてください (涙)。
殺す必要はないんです。ただ、ウチの芝生から去ってさえくれれば......